© 2017 uedafumihiro

BOOKS

新本慶一は物語を喰らって生きている。

隠された真実を、無理やりに引きずり出し、まるで本能がごとくかみ砕く。

それを繰り返すこの男が望むものは。

入院している息子の病名を突き止めてほしい。

医者でもない慶一たちに舞い込んできた依頼。

矛盾に興味を惹かれ、物語は動き出す。

人斬り浅右衛門、奇妙な人体模型。

依頼者の息子と、似た病を患うの女の残したメッセージ。

ミャンマーと国際医療ボランティア。

謎の言葉、ケーキインパーラー。

剥いでいくカーテンの最奥で彼らは、ある「選択」を見つける。

俺は立っている。

新宿中央公園。

もうなにもない。

手元に残っているのは安ホテルに一泊できるくらいの金。

それが全財産。

家も仕事も、それから妻も。

もう宿を探すのさえ面倒だ。

そんな俺に公園での、ホームレスの生き方を教えてくれる男。

立ち直るとはまた別の生き方を学ぶ中、ある出来事から、治験によって妻を死に追いやった男の臭いを嗅ぎ取る。

俺は、抑えられなくなった呻きとも歓喜ともつかない声をあげた。

腹の底から力がみなぎってくる。

希望は力をくれる。

たとえそれがどんなに黒かろうとも。

さぁ始めよう。

私のねぐらは新宿中央公園。

日本の底で私は見ている。

多分、誰も本当の意味では見つめることはできない遙か先を。

憂い、術を求め、私はあがいている。

そしてたどり着いたもの。

終わりから物語は始まる。

片目を失った。

彼女は左目が見えない。

見えないだけではない。

眼球そのものがない

そのままにすれば、バランスをうしなった顔は歪んでいく。そのため、人工の眼球をいれる。

人工眼球は眼を動かす筋肉繊維と繋がれ、本来の眼球と同じ動きを実現する。

その人工眼球の上に丁寧な仕事をされた義眼をはめ込めば、外見からは義眼であるとわからなくなる。

だが、それがなんだというのだ。

彼女は殻に閉じこもり、自身を閉ざし生き続ける。

そんな彼女の水面に、小石が一つ投げられる。

それは物語の始まり。